叙述トリックものの個人的まとめ

叙述トリックものをいくつか読んで、もう飽きたというか、これ以上面白いと思えるものが見つかりそうにないと思ったので、記録としてまとめておく。

読んだ順番は古いほうから

ロートレック荘事件

ハサミ男

殺戮に至る病

そして誰もいなくなった

十角館の殺人

倒錯の死角(アングル)―201号室の女

容疑者Xの献身(2008年11月追加)

以下、順位とクラス分けをした上で感想をまとめておく。各クラス間には自分の中で大きな溝がある。

Aクラス(自分の中で名作・傑作)

1位 殺戮に至る病  我孫子武丸

殺戮にいたる病
殺戮にいたる病

叙述トリック」という言葉を知ってから最初に読んだ。叙述トリックものということを知っていて読んでいたにもかかわらず、どんでん返し部分では鳥肌が立った。

2位 ハサミ男 殊能将之

ハサミ男
ハサミ男

これも大好きでいろんな人に勧めた。映画もあるけど、映画はぜんぜんだめ。映画を見るんだったら少なくとも本を読んだ後にしたほうがいい。本を読む前に映画を見ても本と無関係に映画は面白くない。映画を見た後に本を読むとせっかくの本さえも楽しめない。

Bクラス(十分面白かった)

3位 ロートレック荘事件 筒井康隆

ロートレック荘事件
ロートレック荘事件

最初に読んだ叙述トリックもの。びっくりしたけど、筒井康隆の実験としての位置付けからか、ちょっと構成に難があると思う。

4位 容疑者Xの献身 (2008年11月追加)

容疑者Xの献身
容疑者Xの献身

叙述トリックの使い方自体は上手いと思う。ただ犯人の使った手段(叙述トリックでない意味でのトリック)が本当に効果的だったかはかなり疑問。その他にも首をひねりたくなる部分が多々ある。とはいえ相当読みやすい文章なので本を読み慣れていない人でも十分に楽しめる。

Cクラス(読まなくても人生損したとは思わない)

5位 そして誰もいなくなった  アガサ・クリスティ

そして誰もいなくなった
そして誰もいなくなった

1939年の発表ということで叙述トリックものの古典といえる。70年近く前の小説としてはすごいと思うけど、現代的な叙述トリックものを読んだ後だと物足りない。知識として読んでおくという感じ。

6位 十角館の殺人  綾辻行人

十角館の殺人
十角館の殺人

まとめておこうと思ったのはこの「十角館の殺人」を読んだことをすっかり忘れていて危うくもう一度買いそうになったからでもある。「そして誰もいなくなった」を読んでおけば、これは読む必要がないと思う。

7位 倒錯の死角(アングル)―201号室の女  折原一

倒錯の死角(アングル)―201号室の女
倒錯の死角(アングル)―201号室の女

これを読んで、もう叙述トリックものはやめようと思った。ネット上では結構評判がいいように思うんだけど面白くなかった。「叙述トリック」を使うために「叙述トリック」以外の部分が無理矢理になっていると思う。

番外(叙述トリックものといえなくはないかもしれないけど)

クラインの壺

 クラインの壺

叙述トリックものというよりSFというべきだと思う。出来はいいと思う。

番外(叙述トリックものといえるだろうけど)

どんどん橋、落ちた

 どんどん橋、落ちた

犯人当ての短編集。少なくとも叙述トリックものとして読むとがっかりする。